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とことんコロラドライフ 2003年11月号

ダウンタウンおすすめスポット その5

デンバーの皆様、かなり寒くなりましたが、お元気ですか。うりです。

image今回は、ダウンタウンのペプシ・センター(Pepsi Center)を本拠地とする、ナショナル・バスケットボール・アソシエーション(NBA)のデンバー・ナゲッツ(Denver Nuggets)にスポットを当ててみました。

デンバー・ナゲッツ。元々はデンバー・ロケッツ(Denver Rockets)と言うチーム名で、1967年からABA(アメリカン・バスケットボール・アソシエーション)リーグに所属していました。1974年にチーム名を「デンバー・ナゲッツ」と改名し、1976年にABAとNBAが合併して、新生NBAデンバー・ナゲッツが誕生します。その頃のナゲッツはまずまずの成績を残していますが、残念ながら徐々に負け越しのチームとなってしまいます。そして、1997年から98年にかけてのシーズンでは、NBA史上最悪の11勝71負と言う不名誉な記録を残してしまいます。勝てないチームの試合を観に来るファンも減り、観客動員数はNBA全29チーム中25位。そしてナゲッツは今でも、去年の成績17勝65敗が物語る様に、なんと8年もの間、(全29チーム中16チームが獲得できる)プレイオフの出場権を勝ち取っていません。

チケットが売れないので利益が少ない、だから強い選手を得られず勝ち越せない、その悪循環を繰り返す、「弱い」印象を拭い切る事が難しいナゲッツですが、今年のドラフトでナゲッツが獲得した選手は、身長約203cm(6フィート8インチ)のカーメロ・アンソニー(Carmelo Anthony)選手。ニューヨーク出身のアンソニー選手は、去年入学したシラキュース大学を、ナショナル・チャンピオンに導いた選手でもあります。そして、スポーツ選手に送られるESPY賞の大学部門最優秀選手賞を受賞した彼をフォワードとして迎えたナゲッツは、例年よりかなり期待出来そうです。

そのアンソニー選手を是非観に行きたいと思っていた頃、1人の日本人選手がナゲッツに参加したと言うニュースが飛び込んで来ました。

私が田臥勇太選手の事を知ったのは、10月1日のロッキー・マウンテン新聞(Rocky Mountain News)の記事でした。スポーツ欄の見出しに目を通していた時、「最も優れた日本人選手に群がるメディア」と、いうヘッドラインが目に入りました。

いつもなら、ああ、また日本人の野球選手がメジャー・リーグに入ったのか、で、終わってしまうのですが、その写真の「日本人」の服装は、いつもの野球選手と違ってタンクトップ、そしてそれに続くNBAの文字。私は飲んでいたコーヒーを喉に詰まらせ、それと同時に座っていた椅子から転げ落ちそうになりました。

NBA、それも地元のデンバー・ナゲッツに日本人選手。バスケットボールは、どちらかというと背の高さが有利となる世界なので、比較的背の低い日本人は、NBA選手として足を踏み入れる事さえ難しい事だと思っていました。その同じ記事には1947年から48年のシーズンに、ニューヨーク・ニックス(New York Knicks)3試合出場、7得点を得た日系アメリカ人の例も挙げていますが、日本で生まれた日本人がNBA選手として試合に出場した前例は無いそうです。

imageこれは絶対行かなくてはと、早速チケットを手に入れ、先ずはプレシーズン初戦の10月9日、対フェニックス・サンズ(Phoenix Suns)戦を観に行きました。

アンソニー選手は期待を裏切らず、この日がNBA初舞台とは信じられない程の余裕で、この日チーム最高得点の19得点を29分中に得ました。恵まれた体格以外にも、アンソニー選手のバスケットボールの才能は驚くべきもので、まだ19歳の彼のこれからを思うと、ナゲッツは彼を獲得出来て本当に運が良かったと思います。

そして同じくこの日がNBAデビューの田臥選手は、試合が終盤になって、コートに入りました。

コート上の田臥選手はその存在を示し、エベレストの様に立ちはだかる選手の間を縫い、水を得た魚の様に動き回ります。ボールを取るとドリブルしながら、チームメートにその戦略を確認し、ネット下で後に続くチームメートにボールを渡して、またはアリウープのトスを投げて、チームメートを惹き立てます。そして残り時間3秒前には3ポイント・シュートまで決めた田臥選手は、たった11分の間に7得点という素晴らしい成績を残して、ペプシ・センターを後にしました。

「小さなペース・カー」(Little Pace Car)と、ビズデリック監督が田臥選手の事を呼ぶのを何度か耳にした事があります。ペース・カーとは、レースの先頭に立ち誘導する車の事で、ポイント・ガードの田臥選手にとってかなりの褒め言葉です。結果として、残念ながら田臥選手は解雇されてしまいましたが、彼がNBAで十分に通用する事は、サンズを相手に初勝利を収めたこの日の試合を観ていた人の多くが確信したと思います。

そしてペプシ・センターでのホームゲーム2戦目は、10月24日、プレシーズン最終日に行われました。田臥選手が解雇されたのはその前日だったので、前々から楽しみにしていたゲームですが、そのニュースに落胆し、余り乗り気ではありませんでした。

この日の試合はインディアナ・ペイサーズ(Indiana Pacers)との対戦でした。前半はペイサーズが猛威を揮いリードされますが、ナゲッツも徐々に調子を上げて、後半からはナゲッツのムードで押していきます。

アンソニー選手やベテラン勢が得点を重ねるのと同時に、田臥選手と同じポジション、ポイント・ガードのアンドレ・ミラー(Andre Miller)選手も、中を固めて良いパスを繰り返し、得点を上げます。そしてもう1人のポイント・ガード、現在NBAで最も背が低く、約165cm(5フィート5インチ)のアール・ボイキンズ(Earl Boykins)選手に交代し、試合は終盤を迎えます。

このボイキンズ選手、コートの中で非常に目立つのは、背が飛び抜けて低いばかりでは無く、ディフェンスやパスのスキルは勿論、オフェンス力も素晴らしく、非常に華のある選手です。大きな選手の間を縫って、コートの端から3点シュートを決めた時には、あの小さな体のどこにそのパワーと正確さを兼ねているのかと、不思議に思う程です。そしてその背の低さを有利に使った彼のプレイは、デンバーの皆様、必見です。

109対92で勝ったこの日のゲームも、いつの間にか夢中になってしまい、十分に楽しめました。この2つの試合を観て、今年のナゲッツは強い、と確信しました。バスケットボール、NBAファンの方々、そしてそれ以外のスポーツのファンの方々にも、今年のデンバー・ナゲッツは楽しめると思います。チケットはebay等でも手に入れ易く、格安です。

最後になりましたが、このコラムを書いている最中に田臥選手のホームページを覗いたら、彼はカリフォルニアのマイナー・リーグ、ロング・ビーチ・ジャム(Long Beach Jam)と正式契約したそうです。田臥選手がデンバーを離れてしまうのは本当に残念ですが、彼は近い将来、またNBAに戻って来るでしょう。是非とも夢を追い続けて頑張って頂きたいと思います。

デンバー・ナゲッツ ホームページ: http://www.nba.com/nuggets/
田臥勇太選手ホームページ: http://www.tabuse.net/index.html

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